まず初めに
今回はオーストラリアへの移住・永住を考えられる際に一度は耳にするSkill Nominated Visa (Subclass 190)につきましてお話していきたいと思います。こちらは一般的には州ビザなどと呼ばれることも多いですが、オーストラリアでの履修・就労を重ねたのちにさらなる滞在・永住オプションとして州が提供しているビザのうちの一つとなっており、留学生の方の将来的な選択肢に含まれることが大変多くなっています。今回はこちらのビザにつきまして詳しくお伝えしていきたい思います!
190ビザの背景
近年オーストラリアでは急速な経済成長のため、数多くのの職業において経験のある労働者が大幅に不足しているのが大きな問題として直面しています。 労働力不足というニーズに対応するために、連邦および州/準州政府は、熟練した外国籍従業員がオーストラリアに来て働くことができるよう奨励してきました。
オーストラリアが現在提供しているSubclass 189VisaとSubclass 190の両ビザは、オーストラリア政府が定めている職業リストに載っている職種の中から外国人労働者の経験値をポイントテストで判断をしビザを発給するシステムとなっています。 ただし190visaの場合、 189visaとは異なり、申請者は190ビザを申請するためにオーストラリア州または準州政府から指名(Nomination)を受ける必要があります。
ビザが処理されるまで最大11か月ほど待つ必要があるこちらの190ビザですが、ビザ取得後において永住ビザとしての完全な利点が得られるほか、以下のおける様々な特典があります。
☑オーストラリアに無期限で滞在可能
☑現地学生と同様の学生費用で履修可能
☑オーストラリアでの就労と運営権利
☑Centrelinkを通じて社会保障給付を受け取ることが可能(例:家族税制、求職者、求職者の支払い、育児補助金など)
☑コミュニティヘルスケアプログラム(メディケア)を取得可能
☑オーストラリア現地での家の購入時、最初の住宅所有者助成金を取得可能
☑ビザ申請者のパートナーや扶養家族がオーストラリアに住むのに十分な英語のスキルを持っていない場合、英語プログラム(AMEP)の履修が可能
☑18歳未満の扶養家族は、公立学校で無料で勉強する権利を取得
☑特定の家族をオーストラリアにスポンサーすることが可能
☑将来的なオーストラリアの市民権の申請権利
190ビザの申請方法
ステップ1:190ビザの申請資格があるかどうかの適正チェック
190ビザは一定数の経験・スキルがある労働者に対する指名ビザであるため、最も重要な要件としては申請者の職業が政府によって指定された職業リストに載っているかどうかになり、また仮に職種が指定されている場合は申請する職業のSkill Assessment に合格しなければなりません。このリストは調整が行われ、州/地域ごとによっても大きく異なる場合があります。そのため、このビザを申請する前に必ず更新された最新のリストをとその要項を確認する必要があります。
またもう一点重要ポイントとして、190ビザの申請資格を得るにはポイントテストで少なくとも65ポイントを以上を獲得している必要があります。こちらのポイントは複数の基準、たとえば年齢、英語のスキル、オーストラリア国内外での実務経験、オーストラリアでの研究課程の有無、コミュニティ言語に関連する認定の有無、申請者のパートナーのスキルなどに基づいて計算がされます。
また、上記の英語力の証明としてはIELTS試験の場合各セクションで 6.0またはPTE 50と同等レベルの英語力が必要となります。
ステップ2:Skill Selectを介してexpression of interest (EOI)の提出する
上記のとおりこちらのビザの申請のためにはEOIと呼ばれるポイントを申請・提出する必要がありますこちらのEOIはSkill Select Webサイト(https://skillselect.gov.au/skillselect/expressionofitterest/prereg/start)から提出をする必要があります。
Skill Selectチームは、各申請者のEOIで申請された請求に応じてポイントを算出します。こちらが提出されると、EOIで申請されている情報が州/準州政府からも確認が可能となります。スコアが65ポイント以上で申請者のスキルが高いと判断された場合は、190ビザの申請のために州政府から正式にノミネートされる形になります。
ステップ3:ビザ申請への招待を取得
通常190ビザの場合、EOIを提出してからビザ申請の招待を取得できるかどうかを知るために最大2年間待つことがありますが、スコアの申請が受理され晴れてノミネートされた際はビザ申請のための招待がSkill Selectからメールが届きます。 こちらのビザ申請の準備・申請後のプロセス処理には1年以上かかる可能性が高いため、ビザ取得のための条件の一つであるノミネートされる日には45歳未満である必要があるという点にも注意が必要となります。
ステップ4:190ビザの申請
晴れてビザ申請への招待がされた場合は、60日以内にビザの申請書を提出する必要があります。 Visaアプリケーションでは、招待状に記載されているポイントスコアを満たしているという証明とその他のすべてのビザの申請条件を満たしていることを証明するために、すべてのサポートドキュメントを提供する必要があります。こちらの申請には、その他のビザ申請と同様にImmiaccountでアカウントを作成し、アプリケーションをオンラインで行う必要があります。
190ビザの申請条件
190ビザは州のスポンサー付きビザであるため、連邦政府によって定められた一般的なビザ申請条件と、申請を希望する特定の州の要件の両方を満たす必要があります。
*Skilledビザ申請における条件
カテゴリー | 条件 |
職種 | Skilled Occupations List に含まれている職種 |
英語力 | 最低IELTS 6.0 (each band) 相当の英語力 |
年齢 | Invitation が下りた際に45歳未満である |
ポイントシステム | 最低65ポイントが必要。申請する職種や州によってビザが下りるポイントは変動するためポイントが高ければ高いほど可能大。 |
健康状態 | 指定のメディカルセンターにて健康診断の必要あり |
適性判断 | 申請者とその扶養家族全員の犯罪歴の証明(Police Check)が必要 |
また上記の年齢、英語スキル、ポイント、健康面、適正チェックのすべての要件を満たしているものの、資格/職業が指定の職業リストに記載されているものと完全に一致しない場合であっても可能性はまだあります。申請者の実務経験がリストに載っている職種と関連・適合していることを実証する証拠の提供ができる場合はビザ申請の可能性がまだ残されています。
こちらに関しましてご不明点などございましたら是非お問い合わせください。
*190ビザ申請における特定の要件
上記のような一般的な要申請条件に加えて、各州ではその状況に基づいて州ごとに特定の条件を定めています。たとえば、南オーストラリア州では申請者が現在“州で週20時間または2週間あたり40時間働いていること”を条件として定めています。またクイーンズランド州では、その他の州と比べてもアプリケーションが多いため、ビザ申請時における取得必要なポイントとして2022年度ではで80ポイント以上が必要と定義されています。
これらのように申請できる職種や申請条件は年ごとに変化し続けています。そのためビザ申請をお考えの際は必ず各州ごとの最新の情報が必要となるため移民弁護士やマイグレーションエージェントとの確認が強く推奨されます。
SOL留学ではマイグレーション(ビザ・移民)専門チームが在中しており、過去5年間で5000を超えるアプリケーションをサポート・成功しております。SOL留学の各SNSでも最新情をアップデートしていますので是非確認いただき、ビザ申請におけるサポート等必要な際は是非お問い合わせください。
190ビザ申請費用
カテゴリー | 費用 |
ビザ申請者 | $4,240 |
扶養家族(18以上) | $4,240 |
扶養家族(18未満) | $1,060 |
扶養家族(18以上且つ英語力の条件以下の場合) | $4,885 |
健康診断 | $345.10 / 一人当たり |
ポリスチェック | 申請が必要な国によって変動
オーストラリアでの申請は$42 |
190ビザ申請時における扶養家族の追加
190ビザの申請書を提出するときに家族の情報を含めるか、ビザ申請後でビザの結果がでる前に情報を追加することにより、申請者の家族の方をこちらのビザ申請に含めることができます。 こちらのビザ申請において含めることのできる家族としては:
(1)配偶者または事実上のパートナーである、
(2)申請者の子供またはパートナーの子供、および
(3)申請者の子供/パートナーの子供の扶養されている子供 と定義されます。
また、190ビザを申請する当事者と同様に家族の方も健康診断と適正チェックの条件を満たす必要があります。 パートナーや扶養家族がビザ申請時に含まれていない場合、このビザをともに申請しない理由を提供することが求められることもあります。
以下、こちらのビザにおけるよくある質問をFAQにて記載させていただいているので是非参考にしていただければと思います。
190ビザ申請時における扶養家族の追加
190ビザのプロセスにかかる時間は?
189 ビザなどのビザと比較すると、190 ビザの処理時間は比較的早く処理される可能性があります。 過去のケースに基づくと、申請全体の 50% は 3 か月で処理されており、 75% は 6 か月間、 90% の処理を完了するのにはおおよそ 11 か月の時間が要されています。
*実際の処理時間は、各アプリケーションの状況や年度によっても異なります。 ビザ申請後追加の書類が要求された場合、審査にさらに時間がかかるため、できるだけ完全な状態で申請書を準備することが重要です。
190ビザの申請にJob Offerは必要ですか?
こちらのオファーが必要かどうか判断するには州ごとに条件が異なるため、申請を希望している州と申請するビザの種類から特定する必要があります。
クイーンズランド州
一般的には、EOI を提出する直前の少なくとも 6 か月間フルタイムで(週 35 時間以上)働いていなければなりません。またこちらに加え、申請する職種または関連する職業でのオファーが発行されている証拠を提出する必要があります。
南オーストラリア州
南オーストラリアの場合3つのストリームに分かれます:
- “Working in South Australia” ストリームの場合: EOI が提出された時点で南オーストラリアで少なくとも週に 20 時間、または隔週で 40 時間働いている必要があります。
- ”Graduate” ストリームの場合:南オーストラリア州で 2 年以上履修を完了した学生の場合、ビザの申請基準は短くなりますが、ノミネートされるには 2 週間に 60 時間以上働いている証明が必要になります。
- ”Highly skilled and talented” ストリームの場合:フルタイムで (2 週間に 60 時間以上) 働いている証明と最低年収が $80,000 必要となります。
西オーストラリア州
- General ストリームの場合:西オーストラリア州で指定された職業または関連する職業で最低 6 か月のフルタイムの雇用契約を提供する必要があります。
- 大学院生の場合:ビザ申請時に雇用されている証明の必要がありません。
タスマニア
- Tasmanian Skilled Employment Pathwayの場合: ノミネーションを申請する時点で、少なくとも 3 か月以上残りの期間がある最低 12 か月の雇用契約を提出する必要があります。
- Tasmanian Skilled Graduate Pathwayの場合: このストリームにオファーが出ている証明を出す必要はありませんが、雇用されていることが望ましいです。
ビクトリア州
職務経験の証明として、カジュアル形態での雇用証明で申請が可能となります。ただし、他の州とは異なりビクトリア州では 190 ビザ申請のための職種経験年数や労働時間の条件は設けられていません。
ニューサウスウェールズ州
ニューサウスウェールズ州で指定された、または関連する職業で長期的な地位・契約にある必要があり週に最低 20 時間働いている証明が必要になります。
就労経験がなくても190ビザは申請できますか?
可能です。 オーストラリアの一部の州 (タスマニアや西オーストラリアなど) では、Graduate stream での実務経験は必要ありません、ただし少なくとも 2 年間ノミネートされた州で履修・滞在する必要があります。 その他のストリームについては、ほとんどのケースにおいて実務経験が必要になります。 実務経験を証明するために提出する必要がある書類としては、(1) 雇用契約書、(2) 給与明細書、(3) 雇用主の貢献を示す退職年金口座からの抜粋、および (4) 職位の説明が含まれます。
190ビザ申請のために複数の職歴を使用することはできますか ?
ほとんどのオーストラリアの州では、190 ビザ申請の条件の 1 つとして職務経験を挙げています。 複数の雇用主からの実務経験を組み合わせて、指定された職業に必要な時間を満たすことは可能になります。 たとえば、Full-timeの従業員として週 35 時間以上働く必要がある場合、合計労働時間が必要な時間に達する限り、2 つのPart-timeでの就労を行うことがで満たすことも可能になります。
190ビザ取得後に他の州に移動した場合はどうなりますか?
190 ビザは永住ビザであるため、希望に応じてオーストラリアに滞在、オーストラリアの州間を自由に移動する権利があります。ただし、190ビザ申請においては、ノミネートされた州または準州に少なくとも 2 年間滞在し働くことが原則条件に加わります。
許可なしで別の州に移動すると、その後の市民権申請などに影響する可能性があり、将来家族をオーストラリアへノミネートする申請に影響する可能性もあります。したがって、2 年間の契約期間を待てない場合は、州の管理機関と状況について話し合うことをお勧めします。州間の移動が必要であることを納得させるために、説得力のある証拠を提供する必要があります。
190 ビザを取得してから 2 年後移動制限が解除されるためmその後は自由に滞在、移動就労することができます。
オーストラリア国外から190ビザの申請は可能ですか?
190ビザはオーストラリア国内外で申請ができます。 オーストラリアにいる場合は、申請時に有効なビザまたはブリッジング A ビザ、ブリッジング B ビザ、またはブリッジング C ビザを保持し、190 ビザの結果を待つ必要があります。
189ビザと190ビザの違いは何ですか?
189ビザ は州によるノミネートなどがなく申請できますが、ビザ 190 を申請するには、オーストラリアの州または準州から指名・招待を受ける必要があります。 また上記の通り少なくとも 2 年間は指定の州に留まらなければなりません。 これらの違いを除けば、189 ビザと 190 ビザで得られる特典はほぼ同じになります。